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ご質問/ご相談内容 aa

最近では医療被ばくのリスクのインフォームドコンセントをしなければならないとされていますが、どんなリスク(危険性)を言えばいいのでしょうか?
医療被ばくに関する本の多くでは直線仮説に基づいたリスクを書いてありますが、直線仮説のような仮定のリスクを患者に言う意味があるのでしょうか。しかし、本当にリスクがあるかどうか分からないというわけにもいきません。


回答/科学的根拠

回答:
被ばくリスクをインフォームドコンセントで言う必要はないと思います。

詳しい説明:
インフォームドコンセントは、患者の「事実、真実を知る権利」を守るために行われます。明らかな事実として判明している危険性(リスク)を知らせて了解を得ることが主な目的です。その場合、どんなに低い可能性でも、危険の可能性が事実として明らかな(過去の事例としてある)場合には伝える必要があります。

1) 医療被ばくの中でも、がんの放射線治療や血管カテーテルIVRなどの場合には、二次がんや皮膚障害などの“現実の可能性”がありますので、インフォームドコンセントが必要です。
2) その他の組織反応(これまで確定的影響と呼ばれていた放射線障害です)のしきい値を超える線量を照射する場合には、“現実の可能性”がありますので、インフォームドコンセントでその旨を伝えなければなりません。
3) 一方、放射線検査の場合には何らかの問題(がん)が起こる可能性が現実のものとしては「ある」とは言えません。つまりインフォームドコンセントで伝えるべき事実がないのです。

可能性という言葉には注意が必要です。例えば、心臓カテーテル検査では、皮膚障害がある割合で起こるという事実がありますから、この場合の可能性は“現実の確率”のことです。
一方、例えばCT検査の被ばくでがんが起こるという事実はありません。ですから、「ない」とも「ある」とも断言できる証拠がありませんので、「あるかもしれない=可能性がある」とも、逆に「ないにちがいない=可能性がない」とも、言葉の上では言うことができるのです。この場合の可能性は“想像は可能”という程度の意味です。
直線仮説、しきい値説、低線量有益説、いずれの場合も、患者は事実ではなく仮説の主張を押しつけられることになり、事実真実を知るという意味からはほど遠い話になります。
そこで、選択肢としては、「事実が明確でない」と伝えるか「何も言わない」かのどちらかしかありません。
「事実が明確でない、リスクは不明である」と伝えるのが、真実という意味では最も正しいのですが、詳細な説明が必要になります。インフォームドコンセントではそれば不可能でしょう。
結局「何も言わない」のが最善の策だと考えます。これは事実を言わないのではなく、言わなければならないレベルの事実がないということです。
インフォームドコンセントは患者が自分の責任でその医療を受けるかどうかを判断する材料の提供でもありますから、過大評価された危険性や、過小評価された危険性などが情報として与えられてははならないのです。

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