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ご質問/ご相談内容 aa

放射線科に勤務する看護師です。産婦人科の先生は患者さんに、検査は生理開始後10日以内に受けるようにと言っています。放射線科の先生も、そうしておいた方がいいだろう、と言います。もしそうなら、仕事で毎日被ばくしている私の場合、もし知らずに妊娠していたら胎児が危険なのではないかと心配でしかたありません。


回答/科学的根拠

回答:
検査は生理開始後10日以内でなければ危険だということはありません。看護師の仕事上の被ばくでは、妊娠や胎児に問題がでることは一切ありません。

詳しい説明:
以下の2つに分けて考えましょう。
1)検査は生理開始後10日以内に受けるべきか。
2)看護師の被ばくは胎児に危険かどうか。

1) まず、これは検査時に妊娠をしている可能性のある患者の検査に関する問題です。将来の妊娠に関する問題ではありません。
患者が(知らずに)妊娠していた場合に、検査によって胎児が被ばくするのを避けるための方法として、数十年前におこなわれていた”10日ルール”と呼ばれる指針の内容です。生理開始後10日以内なら受胎の可能性がないため、(妊娠を知らずに)被ばくしても胎児への影響は心配しなくてもいいというわけです。
しかし、その後研究が進み、受胎後3週間は被ばくしても流産になるか、傷害を受けた細胞が排除されて正常細胞に置き換わるために傷害は残らないことが明らかになり(参照⇒)、1980年代半ばにはこの指針は取り消されました。
現在ではこのような誤った勧告をするべきではないとされています。理由は、10日以後に検査を受けた患者が医師から胎児の危険を示唆され中絶を余儀なくされる、という事例が現在でも相当数あり、あとを絶たないためです。
受胎と被ばくの影響に関しては、多くの科学的事実が明らかになっており、それに従った考え方をしなければなりません。 受胎と被ばくのタイミングや被ばく線量によって危険の有無は明確に決まっています。詳細は⇒をご覧下さい。

2) 被ばくによる胎児への影響は、受胎と被ばくのタイミングと線量の問題ですが、胎児に影響が出る可能性があるのは、1回の被ばくで100mGyを超える線量を受けた場合です。
看護師は仕事上どれくらいの線量を被ばくするのでしょうか。 たとえば、CT検査の介助で0.00005mGy、PET検査1回で0.001〜0.002mGy、年間合計で1〜2mGyとなっており、胎児への影響を考えるレベルではありません。
さらに、看護師が被ばくする放射線は患者が被ばくするX線に比べると数百万分の1の強さです。この点からも、胎児に限らず、どのような影響も考えられません。

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参考
「何か心配ですか?医療被ばく」第6章
p157〜158
  
参考
「何か心配ですか?医療被ばく」第6章
p145<1.妊娠中に受けた検査の影響>
  
参考
「何か心配ですか?医療被ばく」第8章
p214<4.女性看護師の被ばく>